最近は、年4,500人程度の人が海外移住をしています。
近年の移住増加の特徴として、移住の主体が多くの人へと広がっていることです。
外務省の海外在留邦人数調査統計によると、1990年には20万人強だった
邦人の海外永住者数は、2011年には30万人以上になっています。
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特に近年は増加のペースも上がっています。
2009年/2010年の対前年比増加率は1%強に対して、2011年は前年比で3%の増加となっています。
少し前のトレンドとしては相続税や所得税(の最高税率)の回避等
いわゆるキャピタルフライト目的の移住が多く、
富裕層中心の特別なものというイメージが一般的だったと思います。
しかし近年、海外への移住を選択される方の裾野が広がってきており、
また移住の目的も子女の教育や、良質な介護等、多様化してきています。
なかでも、母子だけでの教育目的移住は珍しいことではなくなりました。
また、地域別では、45万人いる北米が最も多いのですが、アジアも33万人で2位となっています。
アジアで暮らす邦人は5年前に比べて19%増加しており、
これは全体の11%を上回っているため、特にアジアへの移住傾向が強いといえます。
海外移住に関心が高まっている理由としては、東日本大震災やその後の原発事故、
また政治不信からくる経済不安等が挙げられますが、
日本の教育システムに疑問を持ち、また、グローバル化の進展から、
お子様の未来の選択肢を広げてあげたいと願う
親世代の教育意識の変化も大きく影響しています。
■教育移住のトレンド
昔は、海外での教育を受けるには、親の仕事の都合で海外に行かざる負えない環境下か、
正規高校留学という形でホームステイかというのが、殆どでした。
しかし今では、日本の英語教育にもの足りなさを感じ、
「使える英語」と「国際感覚」を早くから身につけてあげたいと願う親世代が多く、
また受験一辺倒の教育システムを不安に感じ、親子で海外に飛び出すという親子、母子留学が急増しています。
文部科学省は2014年度「スーパーグローバルハイスクール」構想を発表し、56校が指定されました。
*「スーパーグローバルハイスクール」とは
「社会課題に対する関心と深い教養に加え、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身に付け、
将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーを高等学校段階から育成する。」という教育理念に基づき
加えて海外への事業展開が加速する本格的なグローバル時代に向けて、
就職時に重視される「コミュニケーション力」と「異文化への適応力」を子どものうちから習得させたいという意識をもち
教育を行う学校。
欧米では芸術やスポーツ、地域のボランティア活動などにも力を入れた全人教育を目指している学校が多く、
恵まれた教育環境の中で子どもはのびのびと成長できるところも多くあります。
さらに、生活全般にわたった指導が丁寧に行われる全寮制スクールに留学すれば、
規則正しい生活リズムや規律、チームワークも身につけることができるでしょう。
ただし、小学校・中学校の義務教育期間に日本を離れることは、子どもにとって大きなリスクになることも忘れないでください。
日本語の発達が中途半端になり、日本の歴史や文化に関する基礎知識が身につかなくなる覚悟が必要です。
定期的に漢字の書き取り練習を行う、日本語の本を読むなど、留学中も日本についての学習も続けておくといいでしょう。
■小学生留学の注意点
大きな理由がない限り、小学生の正規留学を安易に勧めることはできません。
年齢的には、まだまだ親の直接的な愛情やコミュニケーションが必要な子どもが多いからです。
少なくとも、短期留学やサマースクールでの小さな経験を通じて自信をつけてからでなくては、
正規留学に踏み切るべきではありません。
小学生時代は学習習慣やスポーツ習慣においてさまざまなベースができあがる時期です。
それだけに留学のリスクは大きいといえます。
例えば、算数の分野で大きく遅れをとります。
計算力を重視して、計算の反復練習を奨励するのは日本独特の指導です。
漢字・体育なども日本では体系的な教育が行われていますが、
自由度が高い外国の小学校では基礎を固めるよりも、得意なことを伸ばすことが重視されます。
将来、日本の教育を受け続けてきた同年代の日本人と差が出てくるのは当然です。
その頃になって後悔したりするくらいなら、留学しない方が懸命なのかもしれません。
しかし、親が転勤で近くにいるケース、芸術・スポーツなどの分野で特別な教育を受けたいケースなど事情はさまざまでしょう。
決める前に家族でじゅうぶん話し合うことが、留学を成功させる第一歩です。
■中学留学の注意点
小学生の正規留学と同じく、中学生が1人で海外の学校に行くべきかも、よく考えた方がいいでしょう。
特に、反抗期を迎えるこの年頃は、家族と一緒にいられる貴重な時間を大切にしたいものです。
ただ語学力という点だけで考えれば、中学時代を英語環境で過ごすことには大きな意味があります。
自立心が強い子どもなら前向きに考えていいかもしれません。
日本の中学では、国語や日本の歴史に関して多くのことを学びます。
留学を決断した場合でも、日本人としての大切な教養を吸収する手段を残しておけば、
実り多い中学時代になることでしょう。
■高校留学の注意点
アイデンティティが確立されはじめ、恥の概念もある高校生。英語を間違えてしまうことや、自由がきかないことが多い留学生活は、
ときに大きなストレスとなり、ホームシックになってしまうこともあります。
不自由なことがない日本での高校生活を捨て、わざわざ困難な道を選ぶことになりますが、
海外で苦労をすることで、自立心や精神力が育ちます。
高校留学では、大学進学を見据えつつ計画を立てるのがいいでしょう。
帰国子女枠の権利を得て日本の大学受験をする場合や、海外の大学に進学する場合など、
留学年数や渡航先を計算して進路を考えてください。
本日は上記の中でも特に内容が興味深かった、「子女に国際的で質の高い教育を受けさせる目的」で、
アジアへ移住をされる方々の話題をまとめます。
◎海外移住全体の動向
本論に入る前に、簡単に海外移住全体のトレンドをまとめます。
まず海外で暮らす邦人の人数ですが、外務省の海外在留邦人数調査統計によれば、その人数は着実に増えています。
※外務省の海外在留邦人数調査統計より
1990年には20万人強だった邦人の海外永住者数は、2011年には30万人以上になっています。
特に近年は増加のペースも上がっています。
2009年/2010年の対前年比増加率は1%強だったのですが、2011年は前年比で3%の増加となっています。
また、地域別に見ますと、45万人いる北米が最も多いのですが、アジアも33万人で2位となっています。
アジアで暮らす邦人は5年前に比べて19%増加しており、これは全体の11%を上回っているため、
特にアジアへの移住がトレンドであるといえそうです。
◎急激に増加するアジアで教育を受ける邦人子女
近年の移住増加の特徴は、移住の主体が多くの人へと広がっていることです。
また移住の目的も、相続税や所得税(の最高税率)の回避等だけではなく、
「子女の教育」や「過ごしやすい介護環境」、また「充実した退職生活」など多様化してきています。
(以前は、キャピタルフライト目的の移住が多かったようです。)
参考:海外逃避したい日本人VS規制を強化する日本政府
この中でも、子女へ良質な教育を授ける事を目的にアジアへ移住をするというのは、
今までのイメージとは異なっているかもしれませんね。
ただ現在、アジアで学ぶ日本人の子女は急激に増えています。
グラフにもありますが、平成17年(2005年)に北米を抜き、首位になりました。
※外務省の海外在留邦人数調査統計より
◎急発展するアジアの教育事情
また、アジアの国々も、海外からの生徒の受け入れを含めて、教育には力を入れています。
例えばマレーシアでは、シンガポールに面していて車で30分ほどの距離にある
ジョホールバル(マレーシア第2の都市)を大規模に開発する、イスカンダル計画が進行しています。
そしてこのイスカンダル計画では、石油化学や電子産業の様な従来型の産業だけではなく、
金融や教育に特に大きな力を注いでいるのです。
そして教育では、特区(Edu City)を整備し、一流の教育機関を世界中から誘致する動きが進んでいます。
2012年秋には、英国の名門校マルボロカレッジのマレーシア分校が誕生しました。
マルボロカレッジは170年続く英国でのエリート養成の名門校なのですが、
分校を作るのは170年の歴史の中で今回が初めてなため、大変な注目を集めています。
なおマルボロカレッジがマレーシアに分校を作った理由ですが、
同校は「21世紀に相応しいグローバル人材に育つための教育を行うには、
成長著しいアジアの中に学校を作るのが良いと思われるため」と説明しています。
マレーシア国内王族や各国の貴族・富裕層の子女が既に通っており、
その様な環境による人脈の形成や質の高い教育プログラムに惹かれて、
入学を希望・検討している日本人の子女やその親御様も多いとの事です。
◎意外にお得な教育費
マルボロカレッジマレーシア分校の学費は、中学校で年間200万円と決して安くはありません。
しかし例えば東京都内で私立中学に通わせますと、100万前後の学費がかかりますし、
多くの場合はその他に塾代等も必要です。
また欧米ボーディングスクール(寄宿制学校)などの場合は、学費の相場が年間300万円〜600万円といわれています。
ですので、マルボロカレッジマレーシア分校の年間200万円は、教育効果に比較して考えると割安といえるかもしれません。
現地の物価が日本の1/3ほどのため、家族での移住の場合、生活費を安く押さえることが可能というメリットもあります。
英語に加えて中国語や現地語での教育が受けられ、多様な文化への理解を深められる等、
アジアでのグローバルな環境で教育を受ける事は多くのメリットがありそうです。
この流れは、今後も加速するかもしれませんね。