正式名称は「国際バカロレア」。
英語名は「International Baccalaureate(インターナショナルバカロレア)」、
一般的には「IB(アイビー)」と呼ばれています。
2014年3月時点で世界147か国の3,700校以上で導入され、
約117万人がこのIBプログラムを学んでいます。
IBプログラムはもともと外交官や海外赴任の多い企業幹部らの子供たちの為に、
1960年代にスイスのジュネーブで始まった2年間の高校卒業資格取得の為のカリキュラムでした。
後に小中学校のプログラムとしても拡大されました。
このプログラムは国際的は教育プログラムで、同期間が認定した学校を修了し、
統一試験に合格すれば、国際的に認められる大学入学資格を取得できるため、
海外の大学に入学または入試を受けることが出来るようになります。
日本ではあまり知られていませんが、海外では評価の高いプログラムであり、
イギリスのオックスフォード大学やケンブリッジ大学、
アメリカのハーバード大学やマサチューセッツ工科大学をはじめとした名門大学も認めています。
■IBプログラムの概要
IBプログラムは年齢によって3つに分かれています。
(1) PYP (Primary Years Programme:初等教育プログラム) 6~11歳
(2) MYP (Middle Years Programme:中等教育プログラム) 12~16歳
(3) DP (Diploma Programme:ディプロマ資格プログラム) 17~18歳
■授業の履修
IB カリキュラムは、6つのグループで構成される学習とEE(Extended Essay: 課題論文)、
TOK(Theory of Knowledge: 知識の理論)、
CAS(Creativity, Action, Service: 創造性・活動・奉仕)の3つを履修しなければなりません。
◎6つのグループで構成される学習(各グループから1科目選択)
グループ1:第1言語[母語]
グループ2:第2言語[外国語]
グループ3:個人と社会[歴史、地理、経済学、哲学、心理学、経営学など]
グループ4:実験科学[生物、化学、物理、環境システム、デザイン技術]
グループ5:数学とコンピュータ科学[数学、数学的研究、コンピュータ科学]
グループ6:芸術または選択科目
[美術・デザイン、音楽、演劇またはグループ1~グループ5から1科目]
◎EE(Extended Essay: 課題論文)
自分で決めたテーマで研究し、論文を完成させます。
◎TOK(Theory of Knowledge: 知識の理論)
知識の習得方法や活用方法、さらには知識の価値について学習し、
知的探究への意識を高めます。
◎CAS(Creativity, Action, Service: 創造性・活動・奉仕)
生徒自身が社会奉仕について考え、活動を計画し、
ボランティア 活動などに取り組みます。
上記のプログラムをご覧になって御分かりの様に、IBプログラムの授業では単なる知識を得るだけでなく、
問題発見・解決能力・倫理的思考力・コミュニケーション能力を養うことを重視しています。
ですので従来の日本の様な、1人1人が椅子に座って勉強するスタイルとは全く違い、
グループでのディスカッションやプレゼンテーションが多く行われています。
また第1言語を英語に定めており、第2言語の授業以外は全て英語で授業が行われます。
■修了試験
初等・中等・高等の教育課程それぞれについて一定の履修基準があり、
課程修了時に修了試験を受けます。
英語、フランス語、スペイン語を公式教授言語として定めていますが、
教育言語だけでなく、生徒の母語の履修が必修です。
科目は1~7のスケールで計算され、7が最高点となります。
■メリット
・海外の大学に入学しやすくなる
・国際的な人材を生み出すことが出来る
・クリエイティブマインドやコミュニケーション能力の向上が見込める
■問題とデメリット
・現在の日本ではIBプログラムを教えることのできる教員がごくわずかしかいない。
・英語で授業が進められるため、帰国子女や留学経験者でない限り、
授業に付いていくことが難しい。
・授業料、受験料が高額と言われている。
こうして見ると、長い間日本スタイルの教育を受けてきた人にいきなりIBは難しい様に思います。
しかし海外の大学入学を目指す人やグローバル人材の育成にはとても良いプログラムだと言えます。